坪という言葉は、家づくりの話をすると当たり前のように出てきます。
「この家は〇〇坪です」「〇〇坪あれば十分ですよ」
そんな説明を聞きながら、
坪って本当に分かりやすい単位なんだろうか?
と、ふと違和感を覚えたことはありませんか。
家づくりでは、坪・㎡・帖といった複数の面積の単位が混在しています。
その中でも坪は、昔から使われてきた「慣れた単位」として、今も常識のように扱われています。
けれど、同じ坪数なのに広く感じる家と、なぜか狭く感じる家があるのも事実です。
この違和感は、あなたの理解力が足りないからでも、感覚がおかしいからでもありません。
むしろ、数字をそのまま信じずに考えようとしている証拠だと言えます。
この記事では、坪という単位を否定するのではなく、「なぜ坪が分かりやすいと言われてきたのか」「なぜ今、ズレが生まれやすくなっているのか」を整理しながら、坪に振り回されないための面積の考え方をお伝えします。
家の広さを数字だけで判断して後悔しないために、今回は、坪という「当たり前」を一度立ち止まって一緒に見直してみましょう。
なぜ「坪」は家づくりの常識のように使われているのか?

「坪表示って、なぜ今も使われているんだろう?」
そう感じたことがある人は、決して少なくありません。
家づくりの世界では、床面積を表す単位として、「坪」「㎡」「帖」といった複数の単位が混在しています。
その中でも「坪」は、「〇〇坪の家」「〇〇坪あれば十分」といった形で、常識のように使われ続けている単位です。
ではなぜ、現在の建築基準法や図面では㎡(平方メートル)が基本単位になっているにもかかわらず、坪という単位がこれほど残っているのでしょうか。
理由のひとつは、歴史的な慣習です。
日本では長い間、土地や建物の大きさを「坪」で把握する文化がありました。
不動産取引や住宅の広告でも坪表示が使われ続けたことで、「家の広さ=坪で考えるもの」という感覚が世代を超えて引き継がれてきたのです。
もうひとつは、比較のしやすさです。
「㎡」よりも数字が小さく、「30坪」「35坪」といった切りの良い数値は、家の大きさをざっくり把握するには便利でした。
そのため、営業や説明の場面では、今も坪表示が多用されています。
ただし、ここで注意したいのは、坪はあくまで目安として使われてきた単位だという点です。
坪は
- 延床面積(建物全体の床面積)を示す場合
- 体感的な広さをイメージさせるために使われる場合
もあります。
つまり、「何を示している坪なのか」が
文脈によって曖昧になりやすい単位でもあるのです。
その結果として、
- 坪数は同じなのに、広さの印象が違う
- 坪で比較したはずなのに、住み始めると狭く感じる
といった 「坪数がわかりにくい」「坪表示が危険に感じる」
という違和感が生まれやすくなります。
ここで大切なのは、
「坪が悪い」「坪は使うべきではない」と結論づけることではありません。
なぜ坪が使われ続けてきたのか。
その背景を理解したうえで、今の家づくりでは、坪をどう受け取ればいいのかを考えること。
それが、坪に振り回されないための第一歩になります。
坪は本当に「感覚的にわかりやすい単位」なのか?

坪は、家づくりの中で「感覚的に分かりやすい単位」と言われることがあります。
その理由のひとつが、1坪は畳2枚分という関係です。
畳は日本の暮らしの中で長く使われてきたため、「畳〇枚分」と言われると、空間をイメージしやすいと感じる人も多いでしょう。
この関係は偶然ではありません。
もともと坪は、畳2枚を敷いたときの広さを基準に定められた単位です。
そのため、歴史的には「坪=畳2枚=感覚的に分かりやすい」という構図が成り立っていました。
しかし、現在の家づくりでは事情が変わっています。
畳の大きさは地域や種類によって異なり、さらに洋室が主流となったことで、畳を基準にした感覚自体が人によって大きく異なるようになりました。
加えて、家づくりでは延床面積は㎡で示され、比較や説明では坪が使われます。
部屋の広さは帖(畳の枚数)で語られることが多く、複数の床面積の単位が同時に使われています。
その結果、「1坪=畳2枚」という関係を知っていても、家全体の広さや暮らしのイメージと数字が結びつきにくいという状況が生まれています。
つまり、坪は本来、感覚的に分かりやすい単位として生まれましたが、今の家づくりではその前提が共有されにくくなり、分かりやすいはずの坪が、かえって判断を難しくする場面があるのです。
同じ延床面積なのに、なぜ家の広さは違って感じるのか
「延床面積は同じはずなのに、こちらの家のほうが狭く感じる」
家づくりを検討していると、こうした感覚のズレに出会うことがあります。
この違和感の大きな要因のひとつが、坪表示が生む錯覚です。
延床面積が同じでも、坪という単位で聞いた瞬間に、私たちは無意識のうちに「これくらいの広さだろう」というイメージを作ってしまいます。
そのイメージが、実際の空間の使われ方と一致しないと、「思っていたより狭い」「想像と違う」という印象につながります。
特に坪表示は、建物全体の量だけを示す数字です。
そこには、廊下や階段の割合、吹き抜けの有無、部屋の配置やつながり方といった、空間の質までは含まれていません。
そのため、同じ延床面積でも、設計の考え方によって体感的な広さは大きく変わります。
設計の現場では、「何坪か」よりも先に、その面積をどう配分し、どう使うかを考えます。
居室にどれだけ面積を割くのか、移動のための空間をどこまで絞るのか。
こうした判断の積み重ねが、最終的な「広い・狭い」という体感を左右します。
つまり、「同じ延床面積なのに広さが違って感じる」のは不思議なことではありません。
坪という数字だけで比較すると、空間の使われ方という最も重要な部分が見えにくくなる。
それが、坪表示が生む錯覚の正体です。
それでも坪を使うなら、ここだけは押さえておきたい視点
ここまで読んで、「では、坪は使わないほうがいいのか?」と感じた方もいるかもしれません。
結論から言えば、坪は今でも役に立つ場面があります。
代表的なのが、建物全体のボリュームを把握する場面です。
坪数を見ることで、「この家はだいたいこの規模感だな」「これくらいの大きさなら、建設費はこの程度になりそうだ」と、建物のボリュームとコスト感をざっくり結びつけることができます。
この意味で、坪は今も実務的な単位です。
ただし、この感覚はあくまで目安です。
坪数が同じでも、構造や仕様、間取りの考え方によって建設費は大きく変わります。
坪数だけで予算を判断するのは、やはり危険だと言えます。
また、坪は比較の入口として使うのが適しています。
複数の計画案を並べたときに、どれくらいの規模の違いがあるのかを把握するには便利ですが、暮らしやすさや空間の質まで判断することはできません。
つまり、坪は「広さの答え」や「良し悪しの基準」ではなく、考え始めるための指標です。
坪数を見たら、「この規模でどんな暮らし方を想定しているのか」「そのために面積はどう使われているのか」を次の段階で確認する。
それが、坪に振り回されずに家づくりを進めるための視点です。

まとめ|坪に振り回されない家づくりのために
坪に振り回されないために、押さえておきたいポイント
この記事では、坪という単位を否定するのではなく、
なぜ分かりにくさが生まれるのか、どう向き合えばいいのかを整理してきました。
最後に、その要点を振り返ります。
- 坪は、「慣れた単位」
家づくりの中で「坪」は長く使われてきた単位であるため、建物の規模感や建設費の目安をつかむうえでは、今でも役立つ場面がある - 坪は、床面積のすべてを表す数字ではない
坪が示しているのは建物全体の量であり、面積の配分や空間のつながり方までは含まれていない - 坪・㎡・帖が混在することで、数字と体感がズレやすくなる
延床面積は㎡、部屋の広さは帖、全体像は坪という使われ方が、広さのイメージを難しくしている - 同じ延床面積でも、広さの印象は変わる
面積の使い方や設計の考え方によって、「広い」「狭い」という体感は大きく変わる - 設計者は、「何坪か」よりも「どう使うか」を見ている
実務では、坪数そのものよりも、面積の配分や空間のつながり方が重視されている - 坪は、答えではなく「考えるための入口」
坪数を見たら、その規模でどんな暮らしを想定しているのかを一段踏み込んで考えることが大切
坪は便利ですが、万能ではありません。
数字をそのまま信じるのではなく、数字の裏側にある前提や使われ方を読み取ることが、
家の広さを納得して判断するための近道です。

